AD

2016年5月5日木曜日

俺は親父が好きじゃなかった。

俺は親父が好きじゃなかった。 
お袋とだったら何でも話せるのに、 
親父と本音で話したことなんてなかった。 
親父は俺が18のとき死んだ。 
心臓が急に止まったらしく、何の処置もできないまま死んだ。 
その時は涙は出なかった。 
ただ、泣きじゃくるお袋を可哀想だとは思った。 

俺が21のとき、いい加減親父の部屋を 
片付けようってなって家族で片付けていた。 
俺はワインを見つけた。 
俺が中学の修学旅行で土産に買ってきたものだ。 
お袋は言った。 
―お父さんな、それアンタと飲むのを楽しみにしとったんやで。 
なぜか涙が出てきた。 

俺は親父の墓前でそれを飲んだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿